大人がともに暮らし学ぶ学校『フォルケホイスコーレ』が自然の近くにあるということ

 

民主主義を学び、自分にあった生き方を探す学校

 

今から170年以上も前、大学とは異なるオルタナティブな学びの場として、フォルケホイスコーレがデンマークで初めて創設されました。

北欧やドイツだけでなく近年日本にも広まりつつあるこの学校は、その学費の安さなどから北欧への留学先として世界中の人たちに人気ですが、デンマークのフォルケホイスコーレが都市部から離れた田舎に多く存在することは、あまり知られていません。

 

〈デンマークのフォルケホイスコーレがある場所〉

 

日本に存在する大学の多くが東京や大阪、愛知などの都市部に固まっているのに対して、デンマークで70近くあるフォルケホイスコーレのうち、首都コペンハーゲンの近くにあるのはなんと1校のみ。その他のほとんどが田舎、特に海の近くに数多く分布しています。

僕が2017年の春に留学していたNordfyns Højskole(ノーフュンスホイスコーレ)も、デンマーク第3の都市オーデンセからバスで40分も北上した田舎街にありました。最寄りのバス停の周りには畑しかなく、近くには数件の民家と牧場があり、自転車で30分も走れば海にたどり着くような場所。

学校の周りは広い芝生で、どこまでが校庭なのか、敷地の範囲さえわからない。そんな田舎の学校に世界各地から学生が集まり、ゆとりのあるカリキュラムの授業を受けながら、各々のペースで関心のあるテーマを学んでいきます。

敷地にゆとりがあるため、焚火ができる場所も校内にいくつかありました。午後3時に授業を終えた後は、焚火を囲んだり、あるいは学校の近くの自然豊かな道を散歩したりしながら、学生同士でゆっくり話をすることも。

選択授業ではアウトドアやサイクリングのクラスが人気で、休日には焚火用に積み上げられている廃材を使ってベンチを作ったり、木登りをしたりすることもありました。普段は自意識を持っている大人も、自然のなかでは子どものころと同じように無邪気になれるようです。

 

 

世界中の自然に関する研究や取り組みについて取材して回ったジャーナリスト、フローレンス・ウィリアムズの著書“The Nature Fix”によれば、自然の中にいることが人のストレスを減らし、幸福感を高めることが明らかになっており、最近では自然が脳に及ぼす影響の大きさについても盛んに研究されているようです。

頻繁に自然に触れることでより創造的にも、人に思いやりを持てるようにもなるのだとか。

 

 

デンマークを再生可能エネルギーの先進国にした風車の設計の原案が、フォルケホイスコーレから生まれたという話がありますが、もしかするとフォルケホイスコーレの自然豊かな環境が学生たちの創造性を高め、風車の開発に結び付いたのかもしれません。

 

対話を重視した授業や多様な人たちとの共同生活

 

フォルケホイスコーレで暮らしている間、たくさんの人たちと時間をともにしながら僕は、自由でのびのびとした気分と、周りの人たちと支え合って生きているような一体感の合わさった不思議な感覚を抱いていました。

自分と価値観や文化が違う人たちと一緒に暮らしていて、言葉の壁で話が通じないこともあります。それなのになぜか安心できて、リラックスしていられたのです。そんな気持ちを持てたのは、この学校のある環境と無縁ではなかったのだろうなと今では思います。

国民の多くがアウトドア好きで、国土の大半が森であるフィンランドのみならず、幸福度の高さを誇る北欧の人たちの暮らしは、自然との距離がとても近いものでした。彼らは川辺でコーヒーを飲みながらおしゃべりをしたり、芝生に寝転んで日光浴をしたりことを好みます。

幸い僕らの住む日本にもたくさんの自然があります。人と話をするときや考え事をするときなど、山や川辺、自然の豊かな公園の中をのんびり散策しながら頭を働かせてみたらどうでしょうか。

何かいいアイデアが思い浮かんだり、悩み事が小さく感じられたり、相手や自分にいつもより優しくなれたりするかもしれませんね。

 

2017年12月12日 | Posted in COLUMN | タグ: , , , No Comments » 

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