エアロプレスってどんな器具? BREWERS TOURNAMENT優勝した背景と美味しいレシピ。

2nd BREWERS TOURNAMENT

 

 

2月10日に京都、元・立誠小学校 Traveling Coffeeにてkurasu主催である2nd BREWERS TOURNAMENTが開催されました。この大会では、大会直前に配られる豆に対して限られた時間で味の調整を行い、様々な抽出器具を用いて誰が一番コーヒーを美味しく淹れられるかを競います。出場者はプロ9人、アマチュア9人の計18人で、前回同様にとてもレベルの高いバリスタが多く集まりました。

アマチュアといえどバリスタ経験者も多数参加しており、プロでも考え付かないような面白い抽出方法を披露する方も。三人一組になり、その中で一番美味しかったコーヒーを抽出できた人が勝ちあがるトーナメント制で、ジャッジは公平にどのカップが美味しかったのかを指差します。

抽出過程は考慮せず、誰が淹れたのかが分からない状態での審査なので、純粋に美味しく、最後まで飲みきりたいと思わせるようなコーヒーが評価されました。

 

 

この大会に向けてさまざまな検証を重ね、レシピを組み立てました。当日は豆によって抽出器具を臨機応変に対応する予定で、Hario v60、Kalita wave、Aeropressの3種類を持っていきました。それぞれの抽出器具には利点と欠点があり、豆や焙煎度合いによって抽出器具を使い分けることがとても重要です。

今回の大会ではケニア、エンブ地区で収穫された浅煎りの豆が使用されたので、Aeropresssという抽出器具を選択。ケニアの場合粒度を細かくすると詰まりやすく、粗く挽いてきれいな酸を抽出することは出来るが狙った甘さを引き出すのは難しい。短い調整時間の中で、ケニア独特の酸味や甘さを上手にコントロールすることが目的でAeropressを選びました。

また使用する水もとても重要です。現在世界的に美味しいと評価されているコーヒーの濃度(TDS)は1.15%~1.35%とされており、残りの96.5%~98.5%は水で構成されています。近年の大会ではこのコーヒーを構成する大半を占める水が注目を集めるようになり、150mg/1Lのミネラルを含む硬度の水がもっともコーヒーに適していると言われています。ミネラルの中でも特に大切なのは、マグネシウムとカルシウムです。

マグネシウムはコーヒーにおける酸味の質やフレーバーを引き出します。カルシウムはボディや質感を引き出すことができ、どちらも適度に水に含まれながら、phは7前後の中性であることが望ましいのです。

 

 

準備時間での調整では湯温を下げることで甘さや質感を引き出すことができ、プラムやピーチのようなフレーバーも感じることができました。しかしながら輪郭がぼやけてしまい、冷めた印象があまり良くないカップとなってしまったのです。

決勝戦では甘さや質感を重視した抽出から、酸味やフレーバーをはっきり感じられるようにレシピを変更しました。湯温を上げ、抽出時間をやや延ばし、加水する量を増やしました。湯温を上げることで、酸味の輪郭をはっきりとさせます。加水する量を増やすことで、よりフレーバーを感じられやすい濃度帯に調整し、その分コーヒーを口に含んでから飲み込むまでの感覚がフラットにならないように抽出時間を延ばしました。

 

さまざまな方に応援していただき、本当にありがとうございました。お店に来てお祝いしてくださる方もいらっしゃり、とても嬉しいです。
今回の大会を通して、”その豆らしさ”を引き出すことがとても重要であり、それが僕たちバリスタの抽出における使命なのだと改めて気づくことができました。その豆が持つ、素材の個性を最大限に感じられること。そして、雑味がなく毎日でも飲みたくなるような透明感のあるコーヒーをこれからも伝えていきたいです。

当日の様子はこちらから。
※決勝戦は1時間45分頃からです。

 

What’s Aeropress

 

エアロプレスは2005年、フリスビーの会社であるAerobie社のアラン・アドラーさんによって発明されました。注射器のような形をしており、手で圧力を加えて抽出するため、お湯を浸すだけでは出ない華やかな香りや質感が生まれます。

サイフォンやペーパードリップに比べると歴史的にも日は浅く、日本に持ち込まれたのもここ数年の出来事です。けれどこうした新たな抽出器具による多様性が、サードウェイブのシーンを引っ張るその背景にはあります。バリスタはさまざまな抽出手段を持つことで、コーヒーを楽しむこと、そして味の違いによる表現度の高さを追求するようになりました。

また圧力を加えることによって、湯温を下げても美味しく淹れられるので、甘さを引き出すこともできるのです。浅煎り~中煎りまでのフルーティなコーヒーを淹れるのに向いており、現在浅煎りを扱う多くのお店でこの抽出器具が採用されています。

 

 

スポーツ玩具メーカーが開発したということもあり、屋外でも簡単に短時間でコーヒーを楽しむことが出来ます。ドリップコーヒーではどのようにお湯を注ぎ、何回に分けて注ぐのかという繊細な技術が要求されますが、エアロプレスの場合は”何秒で押し出すのか”というシンプルな工程なので、安定した美味しさを手軽に楽しむことが出来るということが大きな特徴です。

JBrC(ジャパンブリュワーズカップ)では決勝戦でエアロプレスを使用する競技者も多く、簡単ですがとてもクオリティの高いコーヒーを淹れることができる器具なのです。

 

How to brew

 

使用する器具をご紹介します。

 

 

プランジャー(内筒)、チャンバー(外筒)、フィルターキャップ、ペーパー、パドル(撹拌棒)

スケール、ケトル、サーバー、コーヒー豆、グラインダー

エアロプレスを購入すると、上記5点に加え、ファンネルというコーヒーの粉を入れやすくするための漏斗もセットになっています。スケールは質量と時間を計測する機械なのですが、なければ量りとタイマーがあれば十分です。
ケトルやサーバーも、狙った場所に細くお湯を注ぐ必要がないのでポットとマグカップで代用できるでしょう。

エアロプレスは抽出工程がとてもシンプルで、美味しいコーヒーを簡単に淹れることができるのですが、突き詰めるとバリエーションが豊富でさまざまな淹れ方を楽しむことができます。お湯の温度や挽き目を調整するのは勿論ですが、コーヒーを淹れる向きも2通りあるのです。

 

Upright

 

まずは一般的な”Upright”と呼ばれる淹れ方です。これは予めペーパーをセットし、お湯で湯通ししておいたフィルターキャップをはめておき、そこにコーヒーの粉を注ぐ淹れ方です。

 

 

この淹れ方ではお湯を注ぎ始めると、手で圧力を加える前に、ペーパードリップのような自然落下による抽出が始まります。

 


 

コーヒーの成分は酸味が一番初めに抽出されます。特にこの一投目から出るコーヒーの液体にはたくさんの成分が含まれており、濃度も高いのでコーヒーの酸味成分を占める大部分はここで決定します。
お湯を注ぎ、パドルで5回ほど攪拌した後、1分時間を置きます。そしてプランジャーをはめ込み、約30秒かけて均一な力でゆっくり押し出して抽出します。30秒よりも短い時間で押し出すと濃度は低く、30秒よりも長い時間をかけて押し出すと濃度は濃くなります。お好みで調整してみてくださいね。

この”Upright”ではその豆の持つ明るい酸味をはっきりと感じることができ、爽やかでボディの軽いコーヒーを楽しむのに向いています。

 

Basic recipe / Upright

dose 14g 中細挽き
water 200ml
temperature 85~90度

①フィルターをセットし、コーヒーの粉を注ぎます。
②タイマーを計り始め、お湯を200ml注ぎ、5回攪拌します。
③50秒になればコーヒーの粉によって出来たドームを崩すため、
2回だけ攪拌し、プランジャーをはめ込みます。
④1分になれば30秒かけてゆっくり押し出すと完成です。

 

Inverted

 

“Inverted”はその名の通り、エアロプレスをひっくり返して抽出する方法です。これは、予めプランジャーを少しだけはめておき、転倒させた内側にコーヒーの粉を注ぎます。

 

 

お湯を注ぎ、攪拌したあと、同じように時間を置きます。1分待つと、ペーパーをセットしたフィルターキャップをはめ、ひっくり返して約30秒かけて押し出すのです。

この”Inverted”という淹れ方は、”Upright”とは違い、一投目の自然落下による抽出はありません。基本的には粉にお湯を浸すことで風味を決定するので、酸味や甘味など全体的なバランスを保つことができる抽出方法であり、現在ではこの淹れ方が主流になっています。

今回はこの”Inverted”でおすすめの淹れ方をご紹介します。

 

Advanced recipe / Inverted

dose 16g 中細挽き
water 100ml
temperature 90度

①プランジャーを少しはめ、転倒させた内側にコーヒーの粉を注ぎます。
②タイマーを計り始め、お湯を100ml注ぎ、5回攪拌します。
③40秒になればコーヒーの粉によって出来たドームを崩すため、
2回だけ攪拌し、ペーパーをセットしたフィルターキャップをはめ込みます。
④ひっくり返し、50秒になれば30秒かけてゆっくり押し出します。
⑤抽出されたコーヒーに約90mlのお湯を加え、完成です。

 

 

押し切った後はそのままキャップを外し、ゴミ箱に向けて粉をペーパーごと押してあげると片付けもとても簡単です。最近ではこのエアロプレスを使用してエスプレッソを抽出できる”Prismo“と呼ばれるアタッチメントが発売され、まだまだ可能性を秘めた面白い抽出器具なんです。使用するフィルターを2枚にしてみたり、湯温をもっと下げてみたり、ペーパーではなく金属フィルターを用いたり、自由度の高さも魅力的です。

お家でも手軽に美味しいコーヒーを淹れられるので、ぜひ試してみてくださいね。

2018年03月10日 | Posted in COLUMN | タグ: , No Comments » 

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