ABOUT COFFEE

 

僕たちは、コーヒーを通して”美味しい”、”楽しい”という感動体験から、
「なぜ?」という関心を生み出すことを目指します。

 

なぜ、美味しいのでしょうか。

 

それは僕たちが伝える、スペシャルティコーヒーの背景にあります。

 

 

スペシャルティコーヒーという概念は、1978年、
サンフランシスコにある米国Knutsen CoffeeのErna Knutsen女史が
フランスのコーヒー国際会議でのスピーチで使用したことがきっかけです。

『special geographic microclimates produce beans with unique flavor profiles』
”土地、気候などの特別な地理的環境によってもたらされる、
ユニークな風味特性が感じられるコーヒー”

のことをスペシャルティコーヒーと呼びました。

 

歴史をたどれば、1945年の「ヤルタ会談」から始まった東西冷戦、
そして1960年代、世界の南側の開発途上国と北側の先進国との
経済格差を問題視した「南北問題」にあります。
アメリカにとってコーヒーの輸入は、冷戦影響下での
南北問題の悪化を防止する手段のひとつでした。

1970年代、大量のコーヒーを輸入し各国の経済を支えたアメリカでしたが、
輸入したコーヒーはもちろん国内消費、廃棄されます。

大量生産、大量消費により、その当時のコーヒーは量を重視され、品質は悪くなり、
味の薄いコーヒーが多く出回りました。

 

次第に飽和する質の悪いコーヒーによって、コーヒーの価値は下がり、
生産者の収入、地位も低下しました。
生産地での原価割れにより、コーヒー農園を手放す人も出てきます。
消費者は関心を失い、徐々に消費は減少の一途をたどりました。

 

こうしたコーヒー離れを危惧した各国のロースターは、
量よりも品質の良い美味しいコーヒーを目指す為、
生産地へ赴き、農園を視察し、新たな品質基準を教育していきました。

そして、安価なコーヒーが蔓延する中、あえて高い付加価値を掲げ、
良質な風味特性が感じられるスペシャルティコーヒーが注目を集めるようになります。

コーヒーに対する意識が徐々に変化し、1982年、
アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が設立されました。

 

冷戦終結の影響もあって、1990年代になると、
アメリカを中心にスペシャルティコーヒー運動が広がります。

より高品質で、高価に取引されるコーヒーを探るべく、
従来のネガティブな減点法ではなく、ポジティブな加点法が採用されました。

1999年にはスペシャルティコーヒーのネットオークションによる
「カップ・オブ・エクセレンス」と呼ばれるダイレクトトレードも始まりました。

 

そして2003年、ジャパンスペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が設立されました。

日本では1992年以降のバブル崩壊によって、喫茶店は激減し、
価格崩壊、デフレの影響から、価格以外の競争が出来ない状況にあったのです。
そうした価格競争に対して、高い品質、適切な価格で販売する施策のひとつとして
スペシャルティコーヒーが登場しました。

 

 

SCAJではスペシャルティコーヒーをこのように定義します。

 

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの
液体の風味が素晴らしい美味しさであり、
消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、
際立つ印象的な風味特性があり、
爽やかな明るい酸味特性があり、
持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。

カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、
コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において
一貫した体制・工程・品質管理が
徹底していることが必須である。(From seed to cup)

・・中略

生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、
スペシャルティコーヒーの要件として、
サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なものと考える。

 

この定義の中で、特に注目したいキーワードは、
サステナビリティ(持続可能性)トレーサビリティ(追跡可能性)です。

 

サステナビリティとは、現在だけでなく、将来に渡りこの社会と労働環境、
地球環境を保持し続ける取り組みのことです。

2015年9月の国連サミット「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択され、
サステナビリティはその課題解決における非常に大切な役割を担っています。

 

コーヒーは農作物であり、地球環境や農家の人々の暮らしに大きく関わります。

大量生産、大量消費では、有限な資源を使い果たし、
地球の再生能力よりも早く環境を破壊してしまうでしょう。

そして、農家が暮らすための適切な収入がなければ
貧困問題にも発展し、産業は持続しないでしょう。

 

トレーサビリティとは、食品の安全を確保するために、
栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にすることです。

コットン畑、カカオ畑など、発展途上国で問題とされている
労働問題を解決するきっかけになるとして重要視されています。

そしてコーヒー農園もまた同じです。

 

国や地域、農園、生産者、標精製方法など、さまざまな情報が透明なものは
スペシャルティコーヒーであり、
何らかの形でロースター、バリスタは提示しています。

逆に言えば、スペシャルティコーヒーでなければ
トレーサビリティは不透明な可能性が高い。
どのような労働環境で、誰が生産しているのかも不透明ということです。

ですが、コーヒーのサプライチェーン全体で
トレーサビリティを確立するには大きなコストがかかります。

つまり、上質なコーヒーであればトレーサビリティを確立させる価値はありますが、
低品質なコーヒーでは価格が上がり、市場での競争力が失われてしまいます。

僕たちは、常に倫理的問題に直面しているのです。

 

 

さて、今まではスペシャルティコーヒーの背景について探ってきました。

 

なぜ、美味しいのでしょうか。

 

 

この問いに答えるために、背景を知るだけではまだ足りません。
各生産国、農園で育てられ、摘み取られ、精製、脱穀、出荷、焙煎、
コーヒーとして僕たちの目の前まで渡ってきたストーリーを知る必要があります。
そして、生産者の想いを知る必要があります。

 

ですが、その知識が先行する必要はありません。

 

スペシャルティコーヒーに触れ、”美味しい”、”楽しい”を体験して欲しいのです。
自然にわくわくとした感情が生まれます。
美味しさで笑顔になると、温かな空間が生まれます。
なぜ美味しいのか、誰がこのコーヒーを作ったのか、どんな場所で育てられたのか。
気になってくるはずです。

 

なぜ、楽しいのでしょうか。

 

 

この問いに答えるためには、実際に体験することが大切です。
コーヒーを誰かのために淹れる。
美味しいと笑顔になる瞬間のために、一杯を丁寧に淹れる。
その時間を、その空間を、共有することが大切です。

 

僕たちは、スペシャルティコーヒーに触れるきっかけをお手伝い致します。